第4回 胸を張って変態を語ろう!(2)

2009-07-08 09:59:23

 	
変ゼミ第1巻  前回、「変ゼミ」を枕に変態を取り上げましたが、少年誌の世界では直接的な性表現ができないために、台詞回しやチラリズムで読者の想像力をかき立てる漫画は時代を超えて多数存在します。すでに連載は終わってしまいましたが、「あいこら!」(井上和郎・著)はそんな少年誌の中でも珍しい女性のパーツフェチをテーマにした漫画です。これを読むと、直接表現ができないからこそ想像力で補完させる……これってまさに変態のロジックにも通じるものであって、つくづく人間は頭で興奮する生き物なんだなと思わされます。

 さて、前回に引き続いて変態の話。前回も言葉の定義が不明瞭と書いたばかりですが、近年になって昔に比べると変態に対する定義が変わってきているようです。例えば、同性愛は変態性欲の一つとして過去にはよく差別的表現やギャグの題材にされるケースがあったものでしたが、現在では法的にも医学的にも変態とはみなされていません。しかし、私はこの見解には同意しかねるところがあり、今回はそこに焦点を当てて話を進めてみたいと思います。

 別に私は同性愛そのものに反対するつもりはありません。問題点は「変態とはみなされない」という点であり、それならば各国医学会は変態というものをどう定義付けているかなんです。前回で触れたとおり、私は変態とは「性に対する個性」であり、法的、倫理的に問題が無い範囲であれば、変態性欲そのものは全面的に肯定されるべきものと考えています。
 同性愛というもの自体の地位向上はそれはそれで結構なことなのですが、同性愛のみを変態という枠組みの中から切り離してしまったがために、「同性愛は変態ではないから守られなければならないが、それ以外の変態性欲は異端である」という新たな偏見を生み出す構図になりかねません。「同姓が好き」「少女が好き」「死体が好き」「二次元キャラが好き」……単純に性的嗜好の違いでしかないはずなのに一方は市民権を得て、一方はさも精神障害や犯罪者であるかのような扱いをし、社会的異端者として不当に侮蔑、差別される。これは大きな問題ではないでしょうか。

 特にこの類の人権弾圧の例として持ち出される法律に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(俗にいう児童ポルノ法ですね)」があります。本来は、児童買春や児童への性的虐待を取り締まることを趣旨として制定された法律ですが、単純所持の禁止や準児童ポルノ(マンガやアニメなど実在をしない児童を題材にしたもの)も対象にするという改訂案が現在も審議されています。私は、この改訂案の主張は変態という「性に対する個性」を根底から否定するものとして強く反対します。
 なにしろ、「児童ポルノを持っている奴、見ている奴は犯罪者に違いないから根絶しろ」という決め付けに過ぎないのですから。もちろん、社会的に弱い立場である児童を保護しなければならないという趣旨は理解できます。が、この法律一つで犯罪者にされてしまう性的嗜好の持ち主は同様に社会的に弱い立場であるとは考えられないのでしょうか? 自分の好きなものを好きということもできない、弾圧された隠れキリシタンのような人間を生み出すこと、この法案制定を進める人間が目指す理想の社会なのでしょうか?

 もちろん、自己快楽のために他人やその財産を一方的に奪う、傷付けることは当然許されるべきではありませんし、司法によって適切な裁きを受けるべきだと思います。しかし、社会のルールに則った中で自己欲求を満たせるならば、誰にも侵すことができない聖域ではないでしょうか。同性愛は、そういった社会地位を勝ち取ることができましたが、変態そのものに対する考え方は棚上げになったままです。
 特定の誰かのためにだけ都合の良い「人権」ではなく、変態も含めてあらゆる趣向や個性を許容できる真の人権意識を考えなければならない時代が来ているのではないでしょうか。

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